2009年06月22日

ST1.1…新作映画を1.1倍楽しむ (4) 用語編

ST1.1第4回は、専門用語を中心とした解説です。
前回も書いたように早いところで今週26日(金)、または来週7月3日(金)までで上映終了となる映画館がほとんどのようです。上映数も減って辛いところではありますが、今の内にどうぞ。

これまでのネタバレ記事
脚本家Q&A
DOSSIERSの紹介
ST1.1 (1) イースターエッグ編
ST1.1 (2) 設定編
ST1.1 (3) キャラクター編

以下ネタバレです。

U.S.S.ケルヴィン Kelvin (NCC-0514) は、J・J・エイブラムスの祖父にちなんでおり、絶対温度Kの単位でも知られるケルヴィン卿ことウィリアム・トムソン由来としても違和感がないことから、そう名づけられました。
珍しく一本しかワープナセルを持っておらず、エンタープライズより古い船という印象を与えています。また、円盤部下のがナセル、上が第2船体です。
エンタープライズも含め、やたら広い機関室。避難する際、ロープで降りているクルーも見えますね。

★ネロの船は Narada と言いますが、少なくとも字幕にはなく、呼称されているかは不明です。小説版では「ナラダ」、パンフレットでは「ナラーダ」となっています。
採掘艦の割に未来の船ということを差し置いてもやたら巨大で強力なのは、"Countdown" によればボーグ・テクノロジーを利用しているため、ということになっています。

宇宙暦 stardate は、航星日誌の冒頭でおなじみの年代表記です。
今作では小数点以下を除いた整数部分4桁は西暦と同一視されており、わかりやすくなっています。
これはケルヴィンや、未来から来たジェリーフィッシュであっても同じです。
脚本家によると、小数部はそのまま1月1日からの日数ということです (.01〜.365)。

従来のTOSでは言ってみればほとんど適当な数字であり、一応計算法もファンによって編み出されているものの、映画期を含めると実質的には換算不可能でした。さらに吹き替え版では独自の数字になっています。
TNG以降では整数部が5桁となり、第1シーズンを41000台として以降劇中の一年につき1000ずつ増えています。

最初のケルヴィンのシーンが2233年ということがわかり、これは従来からのカークの生年の設定と一致します。

フェイザー phaser はスタートレック世界を代表するエネルギー兵器で、船に搭載されているほか、クルーの携行武器としても使われています。
従来は線状のビームとして描かれることが基本でしたが、ケルヴィンのフェイザー砲はビームとパルス弾状を併用、エンタープライズは船のも人のもパルス弾のみです。おかげでもう一つの主要武器である光子魚雷 photon torpedo もクライマックスの一斉攻撃で使っていますが (青い方)、印象が薄いですね。
フェイザー銃は金属に当たると、「カンッ!」という音も出しています。先端が回転するようになっており、青だと麻痺、赤だと殺傷ですね。当たる時の音も違います。

シールド shield は船を守るために使われるエネルギーフィールドで、従来では繭状に取り囲む場合と、船に密着して一見してわからない場合がありました。今回は描写的には後者でしょうが、ネロとの戦いにしろ、ヴァルカンで残骸をよける際にしろ、ほとんど効いている様子がなかったですね。

★ジョージが発令する「一般命令13」。宇宙艦隊一般命令 Starfleet General Orders は規則・命令の種別の一つであり、一般命令第1条が他文明への干渉を禁じた基本指令=Prime Directive こと「艦隊の誓い」です。
ほかに精神的に破綻した者は船長になれないという、規則 (Regulation) 619 も言及されました。TOS「宇宙の巨大怪獣」でも、似たような規約が言及されました。
追放されたカークは、スポックが保安規約 (Security Protocol) 49.09 に違反しているのではないかと疑っていました。

★スポックが大臣に向けて放つ最後の言葉、「長寿と繁栄を」 "Live long and prosper."。ヴァルカン人おなじみの挨拶で、初出はTOS「バルカン星人の秘密」でした。
もう一度、老スポックがカークを見送る時にも使っています。この時には片手の手の平を向けて中指と薬指の間を広げる、ヴァルカン・サイン (サリュート) も行っていますね。ラストのスポック同士のシーンも同様です。

★カークと初めて会ったときにマッコイが話す「アンドリアン伝染病」。アンドリア人 Andorian はTOS「惑星オリオンの侵略」で初登場した異星人で、オリオン人同様にTNG以降ではほとんど扱われませんでしたが、ENTでは重要な役割を果たしました。

★ヴァルカンへ向かった7隻の僚船。うち6隻はアカデミーのハンガーデッキや、エンタープライズでの会話で示唆されて名前がわかっています。
ファラガット、アンタレス、ケンタウルス、ウォルコット、フッド、そしてトルーマンです。
過去にも登場・言及された船名がありますね。

ただ字幕では、アカデミーのシーンでニュートンとオデッセイもあるような…? これらはノヴェライズにはありますが、海外サイトでは劇中では言及されたことにはなっていません。不思議ですね。
なお小説では、同場面でコンゴウ (Kongo) の名前も挙がっています。和訳では「コンゴ」になってますが、国名のコンゴは Congo です。

これらの船は宇宙ドックの停泊時、発進時に周りに見える姿、およびヴァルカンでの残骸でうかがい知ることができますが、どれがどれかは一切不明です。

★カークに注射しまくるマッコイ、使っているのは皮下注射器のハイポスプレー hypospray です。

★アカデミーからカークとマッコイが乗り込むシャトルは、GILLIAM ギリアムという名称がついています。今作の脚本監修が Dawn Gilliam という人ですが…?

★サンフランシスコのシンボルといえば、金門橋ことゴールデンゲート・ブリッジ Golden Gate Bridge。宇宙艦隊司令部がサンフランシスコにあるという設定のため、過去の作品でも幾度となく描かれました。
DS9では攻撃されて無惨に折れたことも…。

ワープ warp は、スタートレック世界における超光速航行です。日本語の「ワープ」のイメージとは多少異なり、瞬間移動ではなく亜空間に入ることにより光速を越えます。
従来映像で描写する際の基本形としては (TOSでは表現自体なし)、船体が伸びるように消え、その先に小さな光と音が同時発生するものでした。
今作はよく観ないと伸びがわからないぐらい一瞬で消え、その先の光&音はありません。
最初にワープする時の、船内からの視点も新鮮でしたね。

ワープ中は従来では周りの星が線を引くことで表現されていましたが、今作は一見してそれとわかる波乗り的な描写になっています (最初ネロの船の描写を観た時は、タイムトラベルしているのかと勘違いしたほど)。
本国版ポスターは、ワープ中のイメージだったんですね。
ポスター

中立地帯 Neutral Zone は、国家間の間に設けられる緩衝区域。主に連邦−ロミュラン間か、連邦−クリンゴン間のを指します。劇中のは後者でしょうか。

★ウフーラが耳につけている装置はイヤーレシーバー ear receiver (または earpiece) と呼ばれていますが、正式名称はありません。主にTOS、およびそれより前のENTの時代で通信士官や科学士官が使っていました。

転送 transport は対象を粒子に分解した後、遠隔地で実体化させる技術です。コピーではなくそのものを送るもので、製作的には着陸の予算を節約するために考案されました。映画ではTVシリーズより気合いの入った映像の見せ所であり、今作でも独特な描写で魅せてくれます。

赤色物質 red matter は赤い球として描かれ、エイブラムスの過去の作品でも登場した要素です。

★暴れたカークを抑えるために、スポックが首の辺りに手を伸ばし一瞬にして失神させました。ヴァルカン首つかみ (ネックピンチ Vulcan neck pinch。神経つかみ nerve pinch とも) と呼ばれる技で、初出はTOS「二人のカーク」で、やはりカークに使っています。ヴァルカン人はチョップなど使わないだろうという、ニモイの提案で取り入れられたものでした。

★通信に使う小型装置がコミュニケーター communicator で、TOSでは「通信機」という訳でした。今作ではあまり目立ちませんが、デルタ・ヴェガでカークが日誌記録用に使っています。トイも販売されています。
またケルヴィンでもウィノナ・カークが避難する時にジョージと話すために使用しており、上記の25年後のより、TOSで使っていたコミュニケーターと似ている形状のように見えます。

★老スポックが状況を説明するためにカークに行った精神融合 mind meld。これもまたヴァルカン人の技術で、思考を共有したり、ロミュランに対してやっていたように相手から情報を手に入れるためにも使われます。初出はTOS「悪魔島から来た狂人」でした。相手はヒューマノイドに限らず、生命体っぽいものならかなり広範囲に適用できます。

★老スポックがスコットに会って「おもしろい」 "Fascinating."。スポックお馴染みの言い回しで、初出はTOS「謎の球体」です。若いスポックがジェリーフィッシュの操舵席に座るときにも言っています。
吹き替えでは「素晴らしいな」「素晴らしい」「驚いたな」「信じられん」「奇跡ですね」「おかしいな」「興味深い」「驚異だ」「面白い」「これはおかしい」「黙っていなさい」「全くです」「これでよしと」「はい」などなど、いろんな訳が当てられました。

★カーク、スポック、パイクが転送収容された時、看護師が医療用トリコーダー tricorder と思われる装置を使っています。感知・計算・記録などの機能をもつ小型機械で、TOSでは「トライコーダー」とも訳されていました。
ただトイのトリコーダーとは随分形状が異なっており (ENTのトゥポル用スキャナーに似ている)、そちらはどこに出ていたのか未確認です。

★ブラックホールから脱出するため、コア (ワープコア warp core) を爆破する作戦が採られます。言ってみれば船の心臓ですね。セリフでは単数形なのに、なぜか実際はいくつものケースを射出…。コア内部の反物質ポッドか何かでしょうか?
最後はワープしているわけではなく、単に波に乗っているだけです。

★最後の出航シーンで、スコットがダイリチウム dilithium について報告します。ワープ航行に欠かせない、希少な結晶物質です。
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